海辺の街で

「海の匂い!」
ユウの言葉に僕は「海だからね」と返す。
海に向かって楽しそうに「うーみー」と叫ぶ彼女は港の注目の的だ。
そこは「やっほー」とかじゃないんだね。可愛い。
とはいえ、彼女を長く他人の目に晒しておくつもりはない。
僕はどこか満足げな彼女の腕を掴むと、今日の宿を探しに向かった。
空は少し日が落ちかけている。
いい部屋が残っているといいのだけど。

その日のそれ以降の日記は、破られていて読めない。

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