花畑を見下ろす丘で

坂を登ると、そこは花畑が広がる小高い丘の上だった。
「ヴィー! 見てー! いい眺めー!」
さっきまで疲れていた顔をしていたユウが、眼下の花畑に嬉しそうな声を上げた。
僕はうずうずとしていそうな彼女の頭を撫でる。
「ここらへんで休憩しようか」
「やったー!」
「僕は昼食の準備をしてくるから、辺りを見ておいで」
「うん!」
「あ、ただしあまり遠くにはいかないように。分かったね、ユウ」
「はーい! いってきまーす!」
嬉しそうに、花畑の中を駆けていく彼女を眺めて、僕は大きく深呼吸をする。
草木の香りが心地よかった。

そんな、彼女と僕の、旅の話。

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